説明不足にも程がある!
映画の冒頭7分弱。ノーラン監督の前作「ダンケルク」と同様に、徹底して説明が省かれ、緊迫感に満ちたオペラハウスのシーン。しかし、有名な史実ベースの「ダンケルク」と違って本作はオリジナルのフィクションである。説明不足にも程があるというもの。まだほとんど時間の逆行も出てこないのに、のちのカーチェイスや最終決戦のシーンを越える難解さとなっている。
続きを読む映画「TENET テネット」の中では、回転ドア (turnstile) と呼ばれる特殊な設備によって人や物の「時間の向き」を個別に反転 (順行⇔逆行) できる。但し、逆行中も時間がマイナス1倍速で進むだけで、いわゆるタイムトラベルのようなジャンプはできない (1日戻るのに1日かかる)。また、時間の反転は一筆書きであり、逆行に入った人間は順行の自分と併存しつつ年を取り続ける。若返りはしない。再度反転して順行に戻ると、最初の逆行時点に達するまで3人の自分が併存することになる。回転ドアのサイズの制約か、劇中で反転するのは人や車の大きさ以下の物に限られており、船舶やヘリはすべて順行とみられる。これらを踏まえて、本作における時系列の概念、決定論的な世界観について考察してみる。
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